獣神サンダー・ライガーのNXT出場でWWEとROHの関係が取りざたされましたが、やはり新日本プロレスとROHの関係も良好とはいかなくなりそうです。
Wrestling Observer 2015.7.22
■新日本と獣神ライガーによる大きな裏切り
(The ‘Major Double-Cross’ With Jushin Liger from NJPW)
以下、レスリング・オブザーバーより
現地時間7月16日、WWEは8月22日に行われるNXT TAKOVERに、新日本プロレスの獣神サンダー・ライガーが出場する事を発表しました。しかしこの件で、WWEとROH、そして新日本プロレスとの政治的な憶測が広がる事になりました。
問題とされるのは、新日本プロレスがROHのビジネスパートナーだという事です。8月22日はROHもNXTと同じブルックリンでイベントを開催します。しかもROHのこの大会には新日本プロレスの中邑真輔、オカダ・カズチカ、KUSHIDAが出場する事が発表されています。
同大会のチケットは今までに1,100枚程売れていて、この数字にはROHも満足しています。そして最終的に2.000枚の販売を想定しています。去年は最終的に1,500枚を販売しました。しかしWWEが22日のNXT TAKOVERを発表してから、同大会のチケットの売れ行きは鈍ってしまいました。
ライガーは、新日本のツアー以外であれば自身でブッキングできる権利を持っています。とはいえ何でも出来る分けでは無く、CMLLの強豪であるAAAには出場できません。
新日本はG1前々日会見で、ROHをパートナーと発表し、WWEはパートナーとしてはリストされませんでした。
状況に詳しい関係者は、新日本プロレスが重要なビジネスパートナーとして考えているのは、CMLLだけであると指摘しています。レイ・ミステリオのような世界的なスーパースターからオファーがあっても、CMLLの強豪のAAAの選手であれば交渉は出来ないという事です。
これでROHの立場は微妙なものになりました。通常の反応であればビジネスパートナーが裏切ったとして、ここで関係を断ち切ります。
しかしROHにとって、新日本プロレスとの関係はメジャー団体という印象を与える事ができるのでとても有益です。そして新日本プロレスに出場する外国人のAJスタイルズ、ヤングバックス、六本木バイスなどのもROHにとっては重要な存在です。しかし、それでもこの状況で新日本プロレスを信頼するのは難しい事です。
ROHは新日本プロレスと働くことは複雑です。新日本の評判については素晴らしいですが、しかし常に利益になるとは限りません。なので5月のROH&新日本との合同ツアーでは、当初2〜3人の選手しか想定していませんでした。
しかしツアーは2大会の予定が4大会に増えました。フィラデルフィアの大会が売り切れにならなければ、決して増やすことはできませんでした。
そして選手の獲得と、既存選手をROHに繋ぎ止めて置くカギは、新日本とのコネクションです。ボビー・フィッシュとカイル・オライリー、マット・ターバンとマイケル・ベネットwithマリア・ケネリス、マイケル・エルガンは今年の新日本プロレスのツアーに参戦しています。そして他のROHの選手が年末に、新日本に参戦することになっています。
その上デスティネーション・アメリカでのROHは、新日本プロレスの選手が登場する時の平均視聴者数は平均288,000人に対して、新日本の選手がいない時は平均204,000人でした。ただしサンプルの数はまだ少ないです。
そしてROHの試合は照明が暗いので、ここ数回の放送でマイナー団体の印象を与えています。
ROHは、WWEが発表するまで、ライガーのNXT出場の件は知りませんでした。そしてROHのブッカーのハンター・ジョンストン(デリリアス)は、まだ新日本プロレスと8月の計画について交渉する予定がありました。
そして7月24日、新日本のKUSHIDAはGFWに参戦しますが、同日ROHもiPPVの大会がある事から、新日本がCMLL以外は特別視していない事は明白です。
そして新日本は8月22日のROHに自社の選手が出場するにもかかわらず、ライガーのNXT出場を同社のサイトで発表しました。
この事は、米国プロレス界の常識を考えれば本当に大きな裏切りになります。
そして新日本プロレスは、ROHが渡辺高章をほとんど出場させなかった事に不満を持っていました。しかし5月のROH&新日本との合同ツアーで、彼はまたROHに出場するようになりました。
(情報:Wrestling Observer)
おそらく今年の1.4東京ドームの北米PPVで新日本プロレス人気が米国で高まったので、状況が急激に変化しているんだと思います。そしてROHは去年の年末の段階では人気の低下に悩んでいました。現状新日本の選手がいなくなれば、去年とほぼ同じ顔ぶれにってしまいます。