新日本プロレス 木谷高明オーナーが明らかにした新日本プロレスのアメリカ進出計画、そしてレスリング・オブザーバーのデイブ・メルツァーによる見解の其の壱です。斬ると言ってもネガティブな意味はありません。
Wrestling Observer 2017.1.18
■新日本プロレスの海外戦略を斬る
1月18日(水)発売の週刊プロレス(No.1,887)で、新日本プロレス 木谷高明オーナーが “新日本プロレス成長戦略 アメリカ進出計画” の一部を公開しました。そして木谷オーナーは、まず海外からの注目度増加を説明し、アメリカ進出の計画について話しました。
海外での評判も上がっている。(今年の1.4東京ドームでは)ツイッターのトレンドでも一時ハッシュタグが世界ーになり、各国でも上位に食い込むほど。新日本プロレスワールドの加入者も半分は国外からとなった。そしてアメリカに現地法人を作り、そこで興行をやって、米国と日本の映像を合わせてアメリカのケーブルTVに安く売る。
この木谷オーナーの発言に対し、レスリング・オブザーバーのデイブ・メルツァーは、以下のような見解を示しています。
1.4東京ドームを終えて、現在米国で新日本プロレスは一部に熱狂的な人気を得ている。AXSでのG1と1.4東京ドーム・ショーがヒットした事を考えれば、もしかしたら現在新日本プロレスは米国でNo.2かもしれない。
新日本プロレスワールドに関するあるウェブ・トラフィック調査の結果があるが、去年の9月〜11月までのトラフィックの内訳は日本から64%、米国から21%、オーストラリアから3%、英国から2%だったが、12月8日〜1月5日になるとトラフィックは日本から42%、米国から35%、英国から5%、オーストラリアから4%、カナダから2%と変化し下そうです。また2015年から米国からのトラフィックが33%も増加していて、これは米国内でPPVが2万件ほど売れる事を示す結果だったとのこと。ここ最近に関してはWWE以外では太刀打ちできない数字だそうです。これは何もしなければの話なので、2014年の時のようなプロモーション(※2016年の1.4東京ドームの時)を行えば、PPV購入件数が上がる可能性もあります。ちなみに英国は2015年から29%アップしたとのこと。
ただ残念な事に、新日本プロレスが北米でPPV放送をしたのは2015年の1回だけでした。(※その時の実況は元WWEアナウンサーのジム・ロス)
しかし、米国でのコンテンツ(番組)販売に関しては、米国の市場をかなり間違って解釈している可能性があるそうです。現在TNAやROH、GFWやその他の団体も苦境に立たされている状況にあります。WWEを除けば、現在新日本プロレスを放送しているAXS TVしかプロレス番組に放映料を払っているTV局はないそうです。しかもAXSも大きな金額という訳ではありません。
2015年にTNAを打ち切ったスパイクTVは、これ以上プロレス番組には投資しないと決定しました。一時期デスティネーション・アメリカでTNAとROHを放送していたが、どちらも1年も経たずに打ち切りが決まりました。(※デスティネーション・アメリカが抱えた問題は、TNAには多くの視聴者がいたが、広告枠が売れなかった事です。そしてROHは放映権料無しで放送していました。)
AXSの状況は特別でした。AXSはMMA(総合格闘技)のライブ放送を行っているので、その番組との親和性があったという事です。AXSは新日本プロレスの視聴者をMMAに誘導する事に成功させました。同じような状況でない限り、ケーブルTV局はプロレス番組を買う可能性は低いそうです。
またデイブ・メルツァーは、新日本プロレスの米国進出を加速するのであれば、古典的な手法だが最新の後楽園ホール等の大会を1時間の番組にまとめて、AXSでウィークリー番組として放送してもらう事を提案しています。
さらに新日本プロレスワールドを完全英語対応にして米国の人達にもっと親しみやすくする事、大会やメインイベントのプロモーション、選手のインタビューや大会スケジュール等、そしてAXSの番組も重点的に宣伝する。(※現状のサイトは、英語圏の人はとても使いにくいとのこと。これはサービス当初から言われていて、おそらく今も変わっていない)
そしてPPV(インターネットじゃない)放送も推奨しています。実際昨年のUFCのPPV購入件数は堅調だったそうです。スター選手に依存する割合が高かったのは事実ですが、まだPPVビジネスは死んだ訳では無かった事が示されています。PPVもまだ多くの米国人にとって慣れている習慣でもあります。
実際2015年に行われた1.4東京ドームの北米PPVは大きな影響がありました。翌年WWEに移籍したAJスタイル、カール・アンダーソン、ルーク・ギャローズには大きな反応があり、レッスルマニア前々日のNXTテイクオーバー:ダラスでWWEデビューした中邑真輔は、その週で1番の人気を得ていました。
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(情報:Wrestling Observer)
2015年だったらケーブルTVに売るチャンスはまだ大きかったのでしょうね。